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日本のGDPは44兆6,260億円から、最大52兆2,580億円拡大

<ニュースサマリー>

  • アジア太平洋地域の中小企業の94%が、新型コロナウイルス感染症の流行下において、ビジネスを継続するために、テクノロジーの活用を強化
  • 7割近くの中小企業が、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、ビジネスのデジタル化を推進
  • デジタル成熟度の高い中小企業は収益性が高く、生産性の向上により、自社の成長や景気回復に貢献

シスコ(本社:カリフォルニア州サンノゼ、NASDAQ:CSCO、以下シスコ)は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の中で、アジア太平洋地域の企業を対象に調査を行ったところ、中小企業のデジタル化により、同地域のGDPが2024年までに2兆6,000億米ドルから3兆1,000億米ドル拡大し、コロナ後の景気回復に貢献すると「2020 Asia Pacific SMB Digital Maturity Study(2020年アジア太平洋地域 中小企業デジタル成熟度調査)」でレポートしています。

「2020年アジア太平洋地域 中小企業デジタル成熟度調査」は、シスコが企画し、IT専門調査会社のIDCが実査しまとめたもので、アジア太平洋地域のGDPは2024年までに10兆6,000億米ドルから14兆6,000億ドルまで拡大すると予測されています。試算では中小企業のデジタル化による拡大がそのうち25%に達しています。

アジア太平洋地域の中小企業を対象に実施したアンケートに基づくこの調査では、デジタル成熟度の高い中小企業の収益や生産性は、デジタル化に無関心な企業と比べて、2倍優位であることが分かりました。

調査結果では、アジア太平洋地域の中小企業の約7割が、新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネスのデジタル化を加速していることが示されています。回答企業の86%が、デジタル化が新型コロナウイルスなどの危機から回復するのに有益であると考えています。

シスコ、アジア太平洋日本/中国地域 SMB事業担当マネージングディレクター、ビドハン・ロイ(Bidhan Roy)は次のように述べています。

「中小企業は今回の危機でもっとも深刻な影響を受けている一方で、もっとも早く回復すると予測されます。これは多くの中小企業が、顧客への対応を継続するためにテクノロジーに頼らざるを得なかっただけではなく、俊敏性と変革への適応性が高いことによります。アジア太平洋地域が流行から立ち直りつつある中、この傾向は景気回復の重要な役割を担います。シスコは中小企業が適切なデジタルソリューションやデジタル戦略により、これまで以上に力強く立ち上がるための支援をしていきます」

この調査結果によると、アジア太平洋地域の中小企業が優先的に投資する技術は、デジタル化の基本的な柱であるクラウド(15%)がトップで、続いてセキュリティー(12%)、ITインフラストラクチャーソフトウェアの購入またはアップグレード(12%)でした。

一方で、中小企業はデジタル化に対する課題も抱えています。中小企業にとってデジタル変革のもっとも高いハードルとなっているのはデジタルスキル不足や人材獲得(17%)であり、2位はデジタル変革に必要なテクノロジーの不足(14%)でした。

ビドハンはこう続けています。

「中小企業にはこれまでにないチャンスが訪れています。一方で、長期的な価値を最大化するためには、あらゆる関係者が一丸となって業界の主要課題に対処していかなければなりません。これには政府、教育機関、大企業、業界団体なども含まれます。いずれも単体でこれらの課題を解決することはできません。シスコも課題の解決に貢献する企業の一つです。人材についてはCisco Networking Academyにより、これまでアジア太平洋、日本、中国の200万人以上の学生に、様々なICTスキルのトレーニングを提供してきました。テクノロジーに関しては、中小企業向けブランド『Cisco Designed』の製品やソリューションを提供しています」

これらの課題に直面しつつ、アジア太平洋地域の中小企業は、デジタル化への取り組みを継続しています。この調査によると、デジタル成熟度の進んだ段階(ステージ3および4)にある同地域の中小企業は、2019年の11%から16%に拡大しています。デジタル化への取り組みにおいてDigital Observer(ステージ2)の中小企業は5割強で、市場の変化に対して受け身でデジタル変革がほとんど進んでいない中小企業(ステージ1)は31%にとどまっています。

この地域の中小企業で、Digital Observer(ステージ2)の上位を占めたのは、2019年と変わらず、シンガポール、日本、ニュージーランドでした。一方、中国本土、台湾、タイがそれぞれ韓国、香港、マレーシアを抜き、インドネシアとベトナムの中小企業も順位が大幅に上昇しました。

IDC、AVP、デジタル変革兼中小企業リサーチ責任者、ダニエル・ゾイ・ヒメネス(Daniel-Zoe Jimenez)氏は次のように述べています。

「中小企業にとってデジタル化は今や選択肢の一つではなく、生き残りをかけた手段となっています。新型コロナウイルス感染症によりデジタルファーストの推進が必須となり、事業の継続性と回復力を確保するためにテクノロジーへの依存度が高まっています。中小企業は業務、運営、顧客対応を再考する際に、まずクラウドサービスやサイバーセキュリティーに注目し、さらに顧客体験、ビデオ会議、AI/アナリティクスソリューションに対する注力も強化しています。市場環境が急激に変化しテクノロジーが急速に進化する中、中小企業は技術投資を最大化しデジタル化を成功に導くため、適切な業界パートナーと連携する必要があります」

今年の調査は、同地域の中小企業におけるデジタル技術の普及状況に関する2019年の「SMB Digital Maturity Index」に続くもので、2020年は、中小企業によるデジタル変革への取り組みの進め方や、中小企業のデジタル化による経済活動への影響について理解を深めるために実施されました。

関連リソース

日本における評価

ステージ 2: Digital Observer

アジア太平洋地域の中小企業におけるデジタル成熟度ランキング:2位

中小企業のデジタル化により、日本のGDPは2024年までに4,210億米ドルから4,930億米ドル(44兆6,260億円から52兆2,580億円)拡大

  • 日本の中小企業のデジタル化の課題トップ3は、経営層の取り組み、または予算の不足(23%)、必要な技術の不足(14%)、デジタルスキルや人材の不足(11%)でした。
  • 中小企業が投資する技術のトップ3は、ITソフトウェアの購入やアップグレード(17%)、セキュリティー(15%)、クラウド(13%)でした。
  • 中小企業のデジタル化の優先事項トップ3は、市場における成長や拡大(28%)、業務やサービス提供の改善(17%)、営業やマーケティングの改善(13%)でした。
  • 中小企業の37%がデジタル変革により新製品やサービスを導入し、競合他社と差別化を図って成長したいと考える一方、50%の企業が競合他社の変革への取り組みに遅れを取りたくないと認識しています。顧客からの変革の求めに応じ、デジタル変革を進めると答えたのは5%にとどまりました。

調査手法について

「2020年アジア太平洋地域 中小企業デジタル成熟度調査」では、アジア太平洋地域の14市場の1,400社以上の中小企業から収集したデータを分析し、デジタル変革における企業の課題と機会を評価しています。調査は、

日本をはじめ、オーストラリア、中国、香港、インド、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、台湾、ベトナムの14市場を対象として実施されました。

SMB Digital Maturity Indexは「Digital Strategy and Organization(デジタル戦略と組織)」、「Digital Processes and Governance(デジタルプロセスとガバナンス)」、「Digital Technology(デジタルテクノロジー)」、「Digital People and Skills(デジタル人材とスキル)」の4領域で構成されています。各領域でデジタル成熟度の基本的な側面に焦点を当て、ビジネスの機能やパフォーマンスの特定といった面の相対的な成熟度を測る指標として個々に評価し、中小企業のデジタル変革に向けた目標を設定することができます。

デジタル成熟度の4つの段階

  • ステージ1ーDigital Indifferent(デジタルに無関心):市場の変化に対し受け身で、デジタル化への取り組みを実施していない企業
  • ステージ2―Digital Observer(デジタルを注視):デジタル化への取り組みを開始しているが、簡単で小規模な取り組みに限定されている企業
  • ステージ3ーDigital Challenger(デジタルに挑戦):デジタル技術活用の戦略が整備されており、積極的に対応している企業
  • ステージ4ーDigital Native(デジタルネイティブ):ビジネス全般にデジタル化戦略が整備されており、継続的な変革の推進に注力している企業

*Cisco、Cisco Systems、およびCisco Systemsロゴは、Cisco Systems, Inc.またはその関連会社の米国およびその他の一定の国における登録商標または商標です。本書類またはウェブサイトに掲載されているその他の商標はそれぞれの権利者の財産です。「パートナー」または「partner」という用語の使用は Cisco と他社との間のパートナーシップ関係を意味するものではありません。(1502R)

**当資料は、2020年7月28日に発表されたニュースリリースの抄訳です。

URL: https://newsroom.cisco.com/press-release-content?type=webcontent&articleId=2089055