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ヴィカス・ブターニー(Vikas Butaney:202010月16

シスコ

バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー、IoTプロダクト マネージメント

あらゆる場所で運用の自律化が話題となっています。この新技術のメリットと、特にコロナ禍の社会や人類の未来において考えられる影響を秤にかけた様々な議論が展開されています。インダストリアルIoTの観点から言えることは、運用の自律化には非常に高い効果があるということです。

業界を問わず、運用自律化により、ビジネスのレジリエンシー(弾力性)、業務、作業条件、効率、ワークライフバランスの質が改善されています。

  • 自律型の列車運行:1990年代後半に初めての自動運転列車が導入されて以来、多くの旅客路線が敷設、自動化され、乗客の安全性、運行の柔軟性が向上し、営業コストが減少しました。無人列車は運転本数を増やすことで処理能力を向上すると同時に、人間の運転手では不可能な水準の安全性を実現しています。
  • 倉庫、配送センター:サプライチェーンからの受注から出荷までの作業は、完全に自動化されたローディングシステムにより行われています。フォークリフトやピッカーにより商品がパレットに積み込まれ、出荷用に梱包され、出荷ドックに搬送されます。
  • 石油ガス開発:作業員が掘削リグを目的の掘削場所近くに設置すると、リグがその後の作業を単独で引き継ぐため、作業員は危険で何日も要する作業から解放されます。リグの角度の調整など、その場での変更が可能で、自動掘削の生産性と効率が向上します。
  • 自動車製造:メーカー各社は、RFIDを車体に取り付けることで生産ライン上の車体を追跡したり、自動搬送ロボット(AMR)により工場内の安全な部品搬送を実現したりするなど、産業自動化の取り組みに自律運用を取り入れています。
  • 遊園地のアトラクション:今、遊園地で最も人気の高い最新型のアトラクションは「ダークライド(dark rides)」と呼ばれるもので、完全自動運転の車体が真っ暗な倉庫の中を疾走し、迫真のディスプレイ、VRゴーグル、驚異的な加速による体験ができるものです。屋外「アミューズメントネットワーク」が車体やインフラストラクチャのワイヤレスアクセスポイントにより接続されており、堅牢なIoTスイッチやルーターが備えられています。

自動化のレベル

弾力性の高いビジネスに向けた自動化の段階

各自動化の段階の背景には、あらゆる業界における通信や接続性の課題があります。自律的な運用にはレガシーネットワークでは対応できない膨大なリアルタイムの動画やデータが必要となり、苛酷で危険なリモート環境の場合も多くあります。列車は遠隔地やトンネルの中を常に動き続けているため、特有の接続性の課題があります。自動化には広い帯域幅と高いセキュリティ、信頼性が求められます。

 運用自律化の基盤:安全で信頼性の高いネットワーク

自律的な運用を影から支えるのは?

まずはシスコのセキュアで信頼性の高いIIoTのネットワークがシステム全体を駆動し、デバイス、自動車、データ、クラウドなどあらゆるものを接続し、自律的な運用に必要なデータが提供され、適切な時に適切な判断ができるようにします。自律的な運用は、エッジに存在する、ある時点しか価値のない生もののデータに依存しています。事故が起きた後で、車が曲がるべきだったとわかってもほとんど意味はありません。

自律的な運用も、システム全体のセキュリティが確保されてこそ成功するのです。万が一ネットワークがハッキングされたら、攻撃者に自律的な運用を乗っ取られてしまうかもしれません。例えば、ダンプカーが誤った道に案内され、事故を起こすといったことが起こりうるのです。事業の自律的な運用の信頼性を確保するためには、信頼できるネットワークが必要なのです。

 成功のレシピは?

シスコはお客様の環境を間近で見てきており、自動化に課題が伴うことを認識しています。音声、データ、動画にわたり、IT、通信や産業分野の幅広い経験を有し、ITと運用を統合できる企業は私たちの他にありません。

私たちは日々、お客様のさらなる成功に向けて、お客様と以下のような取り組みにおいて協業しています。

  • ITとOTのエコシステムを融合し、IT部門がシスコのネットワークに関するあらゆる知識を活用し、OT部門がプロジェクトを迅速かつ安全に遂行できるようにします。
  • 産業オペレーションを熟知している産業パートナーの強力なネットワークを構築します。これは始動したばかりです。
  • Cisco Resilient Meshの革新的な新機能を活用し、Schweitzer Engineering Laboratoriesと共同で検証した新たなDistribution Automation[英語]などの検証済みの設計を提供します。

次回:鉱業の自律化について掘り下げます。

今後数回にわたるブログで、自動化のユースケースをさらに詳しくご紹介します。1回目は鉱業、その次は港湾について取り上げます。皆さんの業界とは少し異なるかもしれませんが、あらゆる運用現場で多くの似たような課題があるので、ぜひ参考にしてみてください。

また、あらゆるアセットをどこでも接続できる産業IoT製品群や新たな外出先のソリューション、デバイスの発見やセキュリティ確保のためのCyber Vision、大規模なIoTに必要な簡素化や自動化のためのインテントベースネットワークなどについてもご覧ください。

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*ブログ筆者:シスコバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー、IoTプロダクト マネージメントのヴィカス・ブターニー(Vikas Butaney)

* 米国で発表されブログの内容は、以下をご参照ください。
https://blogs.cisco.com/internet-of-things/resiliency-and-the-path-to-automation%e2%80%af