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シスコシステムズ合同会社
代表執行役員会長 鈴木 和洋(写真左)
代表執行役員社長 ディヴ・ウェスト(写真中央)
業務執行役員 グローバル政策・政府渉外本部 出雲 秀一(写真右)

 

 

 

 

スイスのビジネススクールIMDによる「世界デジタル競争力ランキング2018」によると、日本のデジタル競争力は対象となった63カ国中22位でした。この調査は、各国のデジタル競争力を、1)ナレッジ(人材、トレーニングと教育、科学への集中)、2) テクノロジー(規制体系、資本、テクノロジーフレームワーク)、3) 将来への対応力(適応性、ビジネスの俊敏性、ITの統合)の指標から評価したものです。この調査での上位3カ国は、米国、シンガポール、スウェーデンでした。日本に対する評価は、モバイルブロードバンドが1位、ワイヤレスブロードバンドとインターネットユーザーが5位と高い一方で、デジタルテクノロジーのスキルが48位、企業の俊敏性は最下位でした。

シスコでは、Country Digitization Acceleration (以下CDA)と呼ぶイニシアティブをグローバル規模で推進しています。CDAは、中長期なコミットメント、投資に基づいて、政府、教育機関、民間企業と協業しながら、デジタイゼーションによって各国が抱える重要な課題解決や経済成長に積極的に貢献していく基盤です。世界での主な実績としては、フランスや中国でのスマートシティへの取り組み、ドイツやイタリアでのインダストリー4.0のプロジェクト、英国、オーストラリア、インドでのサイバーセキュリティ分野でのパートナーシップなどがあります。そして、私たちはいま、日本でもCDAを導入しようとしています。

日本は、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催国で、そのモメンタムを活かして、大会後も持続的に成長していくことが期待されています。そのため、政府では、日本経済の潜在成長率を大幅に引き上げ、国民所得や生活の質、国際競争力を向上させることを目指して、「Society 5.0 データ駆動社会への変革」を推進しています。具体的にこの政策では、インフラ整備、規制・制度改革、海外市場の取り込みにより経済構造革新への基盤をつくり、次世代モビリティシステム、次世代産業システム、スマートシティ、中小・小規模事業者の生産性革命などのプロジェクト化が進められています。デジタイゼーションは、これら取り組みのすべてに不可欠です。

前回のブログでご紹介したように、シスコは東京2020のネットワーク製品のオフィシャルパートナーです。私たちシスコは、2020年以降を見据えて、政府や自治体、公共機関、民間企業と連携して、新しい「デジタル」インフラストラクチャーを構築、提供することで、日本が抱える課題の解決策の創造に貢献し協力する企業となることを目指しています。そこで、日本においてもCDAを推進し、さらに日本のカントリーデジタイゼーションに貢献していく戦略的なイニシアティブを立ち上げました。それは、Society 5.0 を通じ、日本の持続的な経済成長と安心・安全な社会実現を支援していくことを目指したもので、特に次の4つの領域に注力していきます。

1.ツーリズム、トラベル &トランスポーテーション

  • スポーツ&エンターテインメント
  • スマートシティ、スーパーシティ
  • スマートモビリティ、モビリティ アズ ア サービス (MaaS)

この分野では、既に、京都府様と観光振興や環境・安心安全に配慮した街づくりや、三井不動産様と東京・日本橋でAIとデータ分析を活用した安心安全な街づくりを推進したり、JR東日本様とデジタルサイネージを活用したツーリズム振興に取り組んだり、ソニーミュージック様とライブエンターテインメントに関してファンに新たな体験の提供やバックステージの働き方改革を進めたりしています。

2.インダストリー4.0

  • コネクテッドマシン、スマートファクトリー
  • IoTリファレンスアーキテクチャの構築
  • スタートアップ企業の育成

この分野では、かねてより、ファナック様と止まらない工場やゼロダウンタイムを目指した協業、ヤマザキマザック様とリモート保守や稼働分析をクラウドで提供する仕組みづくりを進めていたほか、THK様とは部品の予兆保全を提供する取り組みにも着手しています。

3.デジタルワークプレイス

  • 中小企業、地方企業のデジタル化支援
  • 働き方改革の加速

この分野では、お互いのテクノロジーを統合して、リコー様とはデジタルワークプレイス実現に向けた連携を、ソニー様とはビデオ会議システム分野での連携を進めてきています。

4.パブリックセーフティ

  • 政府及び重要社会インフラ向けセキュアプラットフォーム
  • サイバーセキュリティ人材育成プログラム

この分野では、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)とサイバーセキュリティにおける基本合意書を締結し脅威情報を提供したり、セキュリティ人材の育成を進めるシスコ サイバーセキュリティスカラーシップ プログラムが大変順調に進んでいます。

シスコジャパンでは、「日本の次世代デジタルインフラストラクチャーと持続的成長の架け橋となる」ことを2020会計年度のビジョンに定めました。このビジョンの実現に向けて、CDAを強力に推進し、日本でのエコパートナーシップ、戦略アライアンスにさらに拡大し、日本のデジタイゼーションと成長に貢献していきます。