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2020年7月24日、いまから1年後、東京2020オリンピックの開会式で聖火台が点火され、日本の新時代の到来を告げます。オリンピックの標語は「Citius、Altius、Fortius (キティウス・アルティウス・フォルティウス)」、つまり「より速く、より高く、より強く」です。これらの言葉は、デジタル社会となる日本のデジタルトランスフォーメーションを完璧に言い表しています。その変革の第一歩は、アスリート、コーチ、観客、観光客のための信じられないようなオリンピック体験の実現です。最初の近代オリンピック大会はたった9つの競技から始まりましたが、東京大会では33の競技が実施され、スポーツクライミング、サーフィン、スケートボード、空手、BMXなどの新しい競技や種目が行われます。また、東京は、1964年の東京大会でパラリンピックが開始されて以降、二度目となるパラリンピックを開催する最初の都市になります。東京大会に向けての機運は急速に高まってきています。これからの1年は東京オリンピック・パラリンピックが注目の的となり、東京と日本は世界から大きな関心を集めるでしょう。

シスコは2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロの両夏季大会をオフィシャルサポーターとして支援しました。2020年、シスコの役割は東京大会のネットワーク製品のオフィシャルパートナーです。43のオリンピック施設を私たちのネットワーク製品 – ハードウェア、ソフトウェア、サービス – で支援します。ロンドン大会では、大規模なWiFiネットワークサービスが利用される新たな時代を拓きました。リオデジャネイロでも同様に、シスコは多くのネットワークサービスを提供しましたが、セキュリティに関わる状況が一変しました。リオ大会では、10数億以上のサイバー攻撃があったのです。

東京2020は史上もっともデジタル化されたオリンピックになります。あらゆるデバイス、すべての選手、観客がつながります。人々は応援する選手、イベント、大会の様子、競技会場での体験などに関するデータを共有するでしょう。東京大会では、アナリティクス、人工知能(AI)、機械学習がうまく利用され、競争する選手の分析や観戦体験を変えるでしょう。機会は無限であり、脅威も数多くありますが、日本が素晴らしいオリンピックを開催する準備を整え、現実のイノベーションを見せてくれることを確信しています。

1964年の東京大会を振り返ると、それはまさに日本の経済成長の契機でした。日本は大会に向けて、東京の再興と社会インフラ整備のために、およそ1兆円を投じました。それは第二次世界大戦から20年ほどで、オリンピックは大きな希望と機会をもたらしました。オリンピックに関わる計画は、10,000の新しいオフィスビルやマンション、羽田国際空港との動脈としての100キロメートルの新規高速道路、空港から市街地へのモノレール、40キロメートルの新規地下鉄、4つの5つ星ホテル、東京・大阪間の移動時間を半減させる4千億円規模の東海道新幹線などの建設を喚起しました。大会4年後の1968年には、日本は世界第二位の経済大国となりました。

それから半世紀を経て、日本は世界第3位の経済国として成熟社会となりましたが、大きな機会とともに多くの課題に直面しています。高齢化と少子化、職場のダイバーシティ、GDPの低成長といった課題がその中心です。これらは、今日の日本にとって大変複雑な課題ですが、1960年代初頭ほど困難な課題ではありません。東京2020オリンピックは、1964年のように、さらに魅力的、革新的で快適な都市や交通、ワークプレースを創ることで、世界に向けて旅行や観光、ビジネスに国をオープンにしていく機会となります。日本のビジネス環境は開かれ、迎える人々は国の美しさ、人々、文化、もてなしを体験します。シスコは、政府や自治体、公共機関、民間企業と連携して、新しい「デジタル」インフラストラクチャーを構築、提供することで、こうした多くの課題に対する解決策の創造に貢献し協力する企業となることを目指しています。

たとえば、日本企業の99.7%は中小企業で、日本の従業員数に占める中小企業の割合は70%を越えています。働き方改革は、これら企業の生産性向上に急務です。そのため、今年2月には、リコーとグローバルな戦略的提携に合意しました。両社は、シンプルでセキュア、インテリジェントなデジタルネットワークサービスを提供し、中堅中小企業の生産性を向上させるワークスタイルイノベーションを実現し、職場を変えていきます。また、4月には、シスコとして、従業員25名以下の小規模事業者を対象にデジタル化を支援する新規事業を立ち上げました。そして、個人事業主やスタートアップ企業をはじめとするこの市場向けに特化して開発した新しい製品、サービス、ソリューションを発表しました。さらに、政府が主導する「テレワークデイズ」は今年3回目となり、日本の産業界がテレワークを実践するきっかけとなっています。これは、オリンピックに先立って何か月も前から日本を訪れる何十万人もの観光客のことを踏まえると、働くすべての人にとって重要な取り組みです。2020年の夏には、自宅や喫茶店あるいは遠隔の拠点で仕事をすることは、交通渋滞に苦労しオフィスに通勤しようとするよりも生産性が高くなります。シスコは、このほど政府のテレワーク関連4省の呼びかけにより設立された「テレワーク導入推進コンソーシアム」に協力し、地域の中小企業等へのテレワークシステムの導入推進を支援しています。

1964年の日本へのインバウンド観光客数は35万人でした。 50年後の2014年には1,340万人を超え、2018年の観光客数は3,120万人となり、ここ4年間で2.3倍に増えました。そして、60万人の観光客がオリンピックのためだけに日本を訪れると推定されています。興味深いことに、訪日する外国人観光客の4分の1以上が京都を訪れます。そこは、観光客を魅了するものが数多くある、素晴らしい、美しい、歴史的な街です。京都は、シスコが協力するスマートシティです。2015年に、京都府とICTを活用した地域づくり・スマートシティづくりに関する連携・協力協定を締結しました。シスコは、京都とともに、日本におけるスマートシティの理想像を確立しようとしています。街灯、監視カメラ、環境センサーなどをネットワークでつないで、モニタリング、管理することで、このプロジェクトでは、安全で環境に優しい街として、街の照明を最適化し、監視機能を強化することを目指しています。さらに、特に日本語が話せない外国人観光客の観光体験を向上させるために、京都は、観光を促進しながら、観光客向けに広告と組み合わせて様々な情報を提供する多言語デジタルサイネージとWiFiサービスを導入しました。今年5月には、嵐山に設置されていたサイネージシステムがアップグレードされました。このアップグレードにより、シスコの高品質ビデオ会議システムを使用して、多言語バーチャルコンシェルジュサービスが可能になりました。京都は、その歴史や文化の基盤を保ちながら、デジタル化によって躍動的に街づくりを進める素晴らしい先進事例です。

あらゆるデジタルトランスフォーメーションにセキュリティの確保は欠かせません。日本においても、まさにそうです。これまで数年にわたって、シスコはさまざまな組織やグループと協力して、サイバーセキュリティの脅威の監視、調査、教育に関わる協力を強化してきました。サイバーセキュリティ分野での深刻な量的、質的な人材不足に対処するために、2017年に開始したシスコサイバーセキュリティスカラーシッププログラムは、受講者が2,000名を超え、東京2020までに10,000人を目標としています。直近では、2018年12月に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)とサイバーセキュリティにおける基本合意書を締結しました。脅威情報を2020年末までNISCに提供することによって、私たちは日本のサイバーセキュリティ対処調整センターとの協力を強化しています。こうしたセキュリティに関する取り組みが、東京2020に向けて、進化するサイバー状況に日本が対応していく準備の進展に役立つことを望んでいます。

東京2020オリンピック・パラリンピックは、大会運営のみならず、5G、スマートマニュファクチャリング、自動運転車をはじめ、日本のさまざまな社会イノベーションのショーケースとなることが期待されています。これらは、2020年に現れるイノベーションのごく一例です。シスコジャパンでは、こうしたイノベーションの多くに役割を果たし、2020年その先に向けて、より深く日本のカントリーデジタイゼーションに貢献していく戦略的なビジョンを策定しました。次回は、その新たな機会についてご紹介します。

 


関連サイト

Tokyo 2020

Tokyo 2020 – YouYube

 

Originally Posted at: https://apjc.thecisconetwork.com/site/content/lang/ja/id/10696