シスコ、分散型エージェンティック AI ワークロード向けの新プラットフォーム Unified Edge を発表
– AIワークロード向け新プラットフォームUnified Edgeは、データが生成・処理されるエッジにおいて、エージェント型 AI および物理 AI ワークロードのリアルタイム推論を実現し、企業の AI 活用を推進 –
概要:
- Cisco Unified Edgeは、データセンターの力と規模をエッジに拡張し、データ生成地点でリアルタイムのアプリケーションや AI 推論を実現
- 単なるサーバーではない、初のエッジ最適化プラットフォームを提供。コンピューティング、ネットワーキング、ストレージを単一システムに統合し、広範なパートナーエコシステムを支援
- 新プラットフォームは AI 対応のパフォーマンスをモジュール型の保守可能な形で提供、フリート全体への展開における運用を簡素化。エンドツーエンドのオブザーバビリティを実現し、セキュリティをあらゆるレイヤに融合してエッジを保護
世界をリードするネットワークおよびセキュリティ企業であるシスコ(NASDAQ: CSCO)は、分散 AI ワークロード向けの統合コンピューティング プラットフォームである Cisco Unified Edge を発表しました。小売店から医療機関、工場などさまざまな場所で、コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ、セキュリティをデータに近い場所で統合し、リアルタイム AI 推論やエージェント型ワークロードを実現します。これは、AI ビジョンの実現に不可欠であり、従来のワークロードと AI ワークロードの土台となるインフラストラクチャとなります。
今日の AI パイロット運用の半数以上がインフラストラクチャの制約により停滞しており、新たな分散型のネットワークアーキテクチャの導入が急務となっています。今年、企業データの 75% がエッジで生成、処理されると予測されており、エッジは AI の新たな最前線となっています。AI ワークロードは、集約型のモデル学習からリアルタイム推論へと急速に移行しており、従来型のデータセンターでは AI の要件に対応するのが困難になっています。AI エージェントの台頭により、ネットワークトラフィックはこれまでの予測可能なバーストから、絶え間なく高負荷がかかる状態へと変化し、エージェント型 AI のクエリはチャットボットと比較して最大 25 倍ものネットワークトラフィックを生成しています。そのため、AI ワークロードでは、データをデータセンターから送受信するのではなく、モデルとインフラストラクチャをデータ生成地点、意思決定が行われる場所の近くに配置する必要があります。
シスコのプレジデント兼最高プロダクト責任者のジーツ・パテル(Jeetu Patel)は次のように述べています。「今日のインフラストラクチャは AI を大規模に支えるニーズに対応しきれていません。AI エージェントや AI 体験が普及する中で、支店、小売店舗、工場、スタジアムなど、お客様とのやり取りや意思決定が行われる場所により近い所でこれらの機能が提供されるようになるのは自然なことです。コンピューティング機能はそのような場所に存在する必要があります。Unified Edge は、柔軟で安全、需要の拡大に応じて容易に導入、運用、拡張できるシステムを通じて、AI を現実世界でより簡単に活用できるようにしています」
エージェント型 AI のためのコンピューティングを刷新
Cisco Unified Edge は、エッジからコアに至るまでリアルタイム推論とエージェント型ワークロードを実現し、企業が安心してAI を大規模に導入、管理できるようにします。このプラットフォームは、既存システムを全面的に入れ替えることなく、拡大して適応できる設計となっており、AI 投資を保護し、まだ構想段階にあるユースケースやサービスを実現します。
- 高いパフォーマンスとモジュール性でリアルタイム AI を支援:フルスタックのコンバージドアーキテクチャにより、コンピューティング、ストレージ、さらにはネットワーキングを単一のプラットフォームに統合し、広範なパートナーエコシステムがそれを支えます。モジュール型のシャーシは、CPU および GPU 構成、冗長電源と冷却システム、高性能 SD-WAN ネットワーク、現行アプリケーションおよびまだ誰も考えたことのないようなアプリケーションに対応する事前検証済みの設計を提供します。
- エッジからコアまで運用の簡素化:ゼロタッチ展開と事前検証済みのブループリントにより、高速で予測可能な AI 展開を実現します。Cisco Intersight による一元管理およびフリート全体の運用自動化により、専門知識を持つ現場技術担当者を必要とせず、拡張、トラブルシューティング、アップグレードを簡素化します。さらに、Splunk および ThousandEyes との統合により、エンドツーエンドのオブザーバビリティを確保し、大規模なエッジ管理を民主化します。
- エッジ AI のための組み込まれたセキュリティ:複数レイヤのゼロトラストセキュリティにより、あらゆるレイヤで AI 環境を保護します。改ざん防止機能、詳細なテレメトリ、一貫したポリシー、設定ドリフト(ずれ)がないため、レジリエンスを確保しつつ、監査証跡が運用拡大時のコンプライアンスを保証します。デバイスレベルでセキュリティが組み込まれており、ゼロトラストを適用することも可能で、すべてのアクセス、セグメンテーション、アプリケーションおよび AI モデルを保護します。このアプローチにより、エッジにおける攻撃対象領域の拡大に対処し、物理的脅威やサイバー脅威から AI 運用を安全に保護できるようにします。
各業界で画期的な成果を実現
シスコは、小売業、製造業、金融サービス、ヘルスケアなどのお客様と緊密に連携し、複雑で制約の多い現実世界に対処できるプラットフォームを共同で設計しています。これにより、現在の従来型のワークロードと、将来の先進的 AI ワークロードの両方に対応することが可能となります。企業は、明日のビジョン(CPUに負荷の高い AI ワークロード)を見据えつつ、今日の現実(CPU で処理可能なリアルタイムアプリケーション)にも対処する必要があります。顧客のフィードバックは、システムアーキテクチャから、プラットフォームの導入、保護、大規模運用管理まで、あらゆる設計に直接反映されています。店舗における AI ワークロードの実行や、銀行支店における安全なデジタルサービスの提供など、このプラットフォームは、最も必要な場所でリアルタイムの意思決定を支援します。
パートナー:AI 成功のための礎
シスコのお客様やパートナーは絶えず変化し進化する AI 環境に対峙しており、シスコは業界全体と連携し、オープンで柔軟な環境、多様な選択肢を提供することに取り組んでいます。シスコは、AI に向けたお客様それぞれの独自の取り組みを尊重し、テクノロジー、マネージドサービス、ISV、リセラーなどから構成される広範なパートナーエコシステムとともに、企業が野心的な AI 目標を実現できるよう支援していきます。AI には、新たな水準の専門性と、複雑化に対応できる統合されたシンプルなソリューションが必要となります。シスコの世界的なパートナーエコシステムがお客様の道を切り拓きます。
提供時期
Cisco Unified Edge プラットフォームは現在受注可能であり、年内に一般提供開始予定です。
業界からのコメント
Intel ネットワーク & エッジグループ バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャであるCristina Rodriguez 氏は次のように述べています。「Intel とシスコのUnified Edge における コラボレーションは、分散コンピューティングに対する考え方の根本的な転換を示すものです。Intelのシリコン技術の革新とシスコのネットワーキングおよびコンピューティングの専門性を組み合わせ、単にエッジ拠点をつなぐだけでなく、データが処理されるあらゆる場所でデータセンターの力をフル活用できるようにします。Intel Xeon 6 SoC は、高スループットで低遅延の処理を行うためにエッジシステムが必要とする柔軟で効率的な基盤を提供し、シスコのモジュール型のコンピューティング設計と統合運用モデルは、より簡単で安全な AI ワークロードの管理を実現します」
Verizon 米国ソリューション アーキテクチャ担当バイスプレジデントであるLee Field 氏は次のように述べています。「エッジの重要性は今日において特に明確です。エッジにおけるAI の早期導入は、業界全体を大きく変える競争上の優位性につながります。もはや傍観している余裕はありません。AI やテクノロジーは急速に進歩しており、将来は予測できません。将来性の保証された柔軟性をエッジプラットフォームに組み込むことが重要です。Verizon とシスコは、イノベーションに対する共通のビジョンを有しており、簡素さ、信頼性、一貫性に注力してこの目標の達成を目指しています」
Rockwell Automation 会長兼 CEOであるBlake Moret 氏は次のように述べています。「AI の生産性を最大化することは、製造現場にとってプラスであり、個々の自動化の仕組みを連携させることが不可欠です。工場の複数ラインを連携させ、さらに複数工場を連携させることで、ペタバイト規模のデータが生成されます。データセンターで実行する方が適切なアプリケーションについては今後も適切に対処します。一方、特に製造現場ではリアルタイムにエッジで行うべきでありそこには意思決定も存在します。エッジコンピューティングには、コンピューティング、ネットワーキング、そしてセキュリティが統合されたプラットフォームのアプローチが必要です。エッジにおける高性能で安全なネットワーキングは絶対不可欠です」
World Wide Technology グローバルソリューションズ & アーキテクチャ担当 SVPであるBrian Ortbals 氏は次のように述べています。「AI およびデータ処理が中央集約型のデータセンターからオンプレミスのエッジに移行する中で、顧客は現場地点で迅速且つ安全なソリューションを必要としています。Cisco Unified Edge により、強力で安全なクラウドおよび AI インフラストラクチャをデータ生成地点までシームレスに拡張することで、顧客と顧客のモデルがエッジで推論を行い、迅速に意思決定できるようになります。このソリューションの提供は、顧客との関係を強化するとともに、将来に備えたテクノロジー導入の最前線に立つことを意味します」
CUBE Research 首席アナリストであるBob Laliberte 氏は次のように述べています。「AI の真の力は、データの発生源に近い場所で推論と分析を行えるようになったときです。それにより、エッジは 次世代AI の新たな最前線となります。エージェント型 AI や物理 AI では、急増するネットワークトラフィックとリアルタイム分析を処理するため、エッジ上でのコンピューティング能力が必要となります。Cisco Unified Edge は、AI を導入して真の事業成果につなげることに苦慮している企業に対し、より簡単に AI を導入し運用できるようにするものです」
関連資料:
- エグゼクティブブログ:AI isn’t waiting for the data center. The Edge is the new center of gravity(AIはデータセンターを待てない。エッジが新たな基軸に)シスコ SVP 兼コンピューティング担当 GM ジェレミー・フォスター(Jeremy Foster)(英語)
- Unified Edge のインフォグラフィックはこちらをご覧ください。
- Unified Edge について詳しくはこちらをご覧ください。
**当資料は、2025年11月3日に米国で発表されたニュースリリースの抄訳です。
https://newsroom.cisco.com/c/r/newsroom/en/us/a/y2025/m11/cisco-unified-edge-platform-for-distributed-agentic-ai-workloads.html