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-先進的な企業はAI導入を本番環境へ移行する確率が他社の5倍、AIから測定可能な価値を得ている確率も90%高いことが明らかに-

概要:

  • AI導入の重要性:AI対応力の高い組織は、テスト環境(パイロット)を本番環境に移行する可能性が5倍高く、測定可能な価値を得る確率も90% 高いことが明らかになっています。
  • エージェンティックAIの普及:87% がAIエージェントの導入を計画しており、約30% が1年以内に社員とともに活用することを見込んでいますが、それを支えるセキュアなインフラを持つ企業はごくわずかです。
  • AI導入の障壁:本レポートでは、業務負荷の増大、GPUキャパシティの不足、データの一元管理の不備といった、イノベーションや成長を妨げるリスクとなる障害が特定されています。

シスコシステムズ合同会社(本社:東京都港区、代表執行役員社長:濱田 義之、以下 シスコ)は、第3回「Cisco AI Readiness Index(シスコAI成熟度指標)」の調査結果を発表しました。本調査では、日本の調査対象企業の約9%、グローバルでは約13%(過去3年にわたり安定)という少数ではありながら一貫したグループを形成する先行者(Pacesetters)が、AIの価値創出において他社をすべての指標で上回っていることが、30市場・26業界・8,000名超のAIリーダーを対象にした本調査で初めて明らかになりました。
先行者の持続的な優位性は、新たなレジリエンス(回復力)の形を示しています。すなわち、戦略的推進要素とAIの進化に対応するためのデータおよびインフラの両立による規律あるシステムレベルのアプローチです。グローバルの先行者98% がAIの成長・拡大・複雑性に対応するネットワーク設計を進めているのに対し、日本では25% にとどまっています。
この先見性と強固な基盤の組み合わせが、AIエージェント(規模・セキュリティ・ガバナンスの水準を引き上げる)や「AIインフラストラクチャ負債」(長期的価値を損なう潜在的なボトルネックの初期兆候)といった、環境を大きく変える2つの要因が出現する中で、目に見える成果を生み出しています。

シスコのプレジデント兼最高プロダクト責任者のジーツ・パテル(Jeetu Patel)は次のように述べています。「私たちは、質問に答えるだけのチャットボットの時代を越え、AIの次なる大きな段階、自律的にタスクを実行するエージェントの時代に突入しています。今回の調査結果では、80%以上の企業がエージェント型ソリューションを優先しており、3社のうち2社は、このようなシステムがすでに目標を達成または上回っていると回答しています。これは大きな競争優位性を示すものであり、先行している企業は同業他社と比べて著しく高い成果を上げていることが分かります」

先行者の特徴:競争優位としての「準備力」
シスコの調査では、先行者に共通するパターンが明確になりました。

  • AIをビジネスの中心に据えている
    先行者である企業・組織の99% がAIのロードマップを持ち(日本は44% )、91% がチェンジマネジメントの計画を策定しています(日本は33% )。予算も意欲と一致し、79%がAIを最優先投資対象とし(日本は19% )、96%が短期・長期両方の資金調達戦略を持っています(日本は37% )。
  • 成長対応型インフラを構築
    71% が「ネットワークが完全に柔軟で、どんなAIプロジェクトにも即時対応できる」と回答(日本は11% )し、77% が今後12ヶ月以内にデータセンター増強への投資を計画しています(日本は52% )。
  • パイロットから本番環境へ着実に移行
    62% がAI活用事例を生み出し拡大する成熟したイノベーションプロセスを持ち(日本は11% )、77% がすでに活用事例を確定済みです(日本は17% )。
  • 必須である成果の測定
    95% がAI投資の効果を追跡(他者の3倍)、71% が「新たな収益源を生み出せる」と確信しています(日本平均の2倍超)。
  • セキュリティを強みに
    87% がAI特有の脅威を強く認識(日本は40% )し、62% がAIをセキュリティ・アイデンティティシステムに組み込み(日本は22% )、75% がAIエージェントを完全に制御・保護できる(日本は28% )体制を構築しています。信頼性も先進的な企業の価値方程式の一部です。

この規律あるアプローチにより、先行者の90% が「収益性・生産性・イノベーションの向上」を実感しており、日本全体の約49% を大きく上回ります。


AI
エージェント:意欲が準備を上回る現状
調査によれば、日本企業の 87% がAIエージェント導入を計画し、約30% が1年以内に従業員とAIエージェントの協働を想定しています。しかし、多くの企業ではAIエージェントの導入が既存システムの脆弱性を露呈させています。自律的に学習・判断を行うAIを支えるには不十分なインフラしか持たない企業が多く、 29% 強が「自社ネットワークは複雑性やデータ量に対応できない」とし、わずか 11% のみが「柔軟/適応性がある」と回答しています。
一方、先行者はすでにシステムレベルの基盤づくりを進めており、今後の拡張にも備えています。

AIインフラストラクチャ負債:価値創出の新たな阻害要因
本レポートでは「AIインフラストラクチャ負債」という新たな概念を提唱しています。
かつてデジタルトランスフォーメーションを妨げた「技術的・デジタル的負債」の現代版であり、妥協やアップグレード延期・インフラ投資不足が、長期的なAI価値を静かに蝕みます。

すでに警告サインも出ています。51% が「3年以内にワークロードが30% 以上増加」と予測し、65% が「データの一元管理が困難」、堅牢なGPUキャパシティを持つのは21% のみにとどまり、AI特有の脅威を検知・防御できるのは5社に1社未満です。

これらは「AIへの意欲」と「運用準備」のギャップを示しています。基幹システムがセキュアでなければ、負債はリスクを増大させます。先行者も無縁ではありませんが、先見性・ガバナンス・投資規律で複雑化するリスクを抑えています。

Cisco AI Readiness Index 2025について
Cisco AI Readiness Index 2025は、従業員500名以上・26業界の企業のAI戦略責任者8,000名を対象に、ダブルブラインド方式で実施されたグローバル調査(今年で3回目)です。

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