ICT 職の 78% に AIスキルが求められる一方、責任ある導入にはヒューマンスキルも重視 –AI Workforce Consortium の調査で判明
– 今後 10 年間で 9,500 万人のスキル向上およびリスキリングを目指す –
概要:
- 2025 年版の本レポートでは、G7 各国で情報通信技術(ICT)関連の 50 職種を調査し、最も急成長している 10職種のうちの 7 割が AI 関連であることが判明しました。
- 生成 AI、大規模言語モデル(LLM)、プロンプトエンジニアリング、AI 倫理、セキュリティに重大なスキルギャップが存在し、責任あるテクノロジー活用にはコミュニケーションやリーダーシップなどヒューマンスキルが重視されています。
- またコンソーシアムは学習に関するアドバイス、『Workforce Playbook』、『AI Skills Glossary』を公開し、従業員や組織が AI 主導の時代において優れた成果を収められるよう支援します。
AI Workforce Consortium は、2 回目の調査となる『ICT in Motion: The Next Wave of AI Integration(ICTの進化:AI統合の次なる波)』を公開しました。本レポートでは、AI 関連職がテクノロジー市場の成長の中心となっていることが明らかになりました。シスコ(NASDAQ:CSCO)主導のもと、 Accenture、Cornerstone、Eightfold AI、Google、IBM、Indeed、Intel、Microsoft、SAP といった業界の主要企業がコンソーシアムに参加しています。
本調査は、2024 年 7 月から 2025 年 6 月の期間、 G7 各国(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)における、 Cornerstone と Indeed に掲載された膨大な求人情報データに基づき、AI が経済、社会、グローバルガバナンスを変革し続ける重要なタイミングに公開されました。昨年の初版レポートを基に、2025 年版の分析では、ICT および専門サポート関連の 50 職種を調査し、新たに登場した AI 専門職、地域の雇用創出、そして競争力を維持するために労働者が必要とするスキルの新たな洞察を示しています。
2025 年版レポートの主な調査結果
- テクノロジー職にAI スキルの要件が浸透:分析対象となったICT職種のうち78% に AI スキルが求められており、G7 各国で職務要件が変化していることが示されています。
- AI 関連職がテクノロジー雇用市場の拡大を牽引:最も急増している 10職種のうち 7 割が、AI / ML エンジニア、AI リスク・ガバナンス専門家、自然言語処理(NLP) エンジニアなどAI 関連職です。
- AI 倫理とガバナンス関連のスキルが引き続き重要:AI ガバナンスのスキル需要は前年比 150%増加、AI 倫理のスキル需要は 125% 増加し、テクノロジー、法務、倫理が交わる分野で専門性がより一層求められています。
- 重大な技術スキル不足とヒューマンスキルの重要性の拡大:生成 AI、大規模言語モデル(LLM)、プロンプトエンジニアリング、AI 倫理、AI セキュリティといった分野でスキル不足は危機的な水準に達している一方、コミュニケーション、協働、リーダーシップといったヒューマンスキルが、責任あるテクノロジー導入のためにますます重視されるようになっています。
- 専門 AI スキルの需要拡大:AI 環境においてはチャットボットからエージェントへのシフトが急速に進んでおり、AI セキュリティ(298% 増)、基盤モデル適応(267% 増)、責任ある AI(256% 増)、マルチエージェントシステム(245% 増)といった専門スキルの需要が高まっています。
- テクノロジーの中心地で AI 関連職の伸びが加速:AI 関連職の増加率はシリコンバレーがトップで 156% 増加、これにロンドンとトロントが続き、世界の AI 中枢拠点であることが示された一方、新たな中心地として、マンチェスター、リヨン、バンクーバーでも AI 関連職が 70% 以上増加しています。
シスコの最高人事・政策・パーパス責任者のフランシーヌ・カツーダス(Francine Katsoudas)は次のように述べています。「AI が世界や仕事のあり方を再構築していますが、常に中心にあるのは人間です。本年のレポートは、AI スキルが新たな可能性を切り拓くものとなる一方で、技術的専門性が、協働やリーダーシップといった人間力と組み合わさって初めて真の意味で明るい未来が形成されることが明らかになりました。シスコは、この新たな時代の成長に対応できる人材を育成し、あらゆる場所の人々が学び、貢献し、恩恵を享受できる機会を提供していきます」
従業員と組織を支援するリソース
コンソーシアムの参加企業は、総体として今後 10 年間で世界中の 9,500 万人のアップスキリングおよびリスキリングに取り組むことを約束しています。この目標を達成するため、コンソーシアムはインタラクティブな AI チャットボットを通じて、従業員や組織を支援する以下のような新たなリソースを提供します。
- 『AI Workforce Playbook』:事業目標や AI 目標に沿った人材育成を支援するためのガイドで、安全で責任ある AI 導入のためのスキルギャップに対応するため、実際のユースケースやデータに基づく情報を掲載しています。
- 最新の学習に関するアドバイス:200 以上の厳選されたコースのデータベースで、最新の技術スキルや AI スキルに関する職種別のガイダンスにより、個人や組織がテクノロジー変化に対応できるよう支援します。
- 『AI Skills Glossary』:教育、産業、政策の各領域において AI スキルの標準化を目指す包括的リソースで、2025 年の AI に活用されている最新のプラットフォームやツールを反映しています。
AI Workforce Consortium 参加企業からのコメント
Accenture
Accenture のグローバルヘルスおよび公共サービス業界プラクティス責任者のRyan Oakes氏は、次のように述べています。「AI は、政府と産業界の双方における公共的な価値提供のあり方を急速に変えつつあります。この変化に追随するためには、先進テクノロジーに精通し、社会的信頼を構築できる確固としたヒューマンスキルを持つ人材が必要です。本レポートは、政府機関が民間パートナー協力によって、デジタルおよび AI データに関するリテラシーの向上、倫理的かつ安全な AI 運用の定着、そして公共人材育成のエコシステム強化に向けたスキルアップ投資を行うよう提言しています。そうすることで、私たちの人材の可能性を最大限に引き出し、すべての人に恩恵をもたらす経済成長を実現することができます」
Cornerstone
Cornerstone の最高経営責任者であるHimanshu Palsule氏は、次のように述べています。「AI によって必ずもたらされる急速な変化に、人材をどう備えさせるべきでしょうか。過去の分析と合わせ、本年のレポートでは、AI 関連のスキル需要や職務要件は指数関数的に伸びており、今後もますます増加することが示されています。一方、技術職における AI 需要とともに、同時にヒューマンスキルへのニーズも高まっており、将来を見据えた人材育成が喫緊の課題となっています。組織とその人材が、この俊敏性と適応力を重視する文化に対応させていくことが、繁栄と成功の鍵となります」
Eightfold AI
Eightfold AI の共同創業者兼 CEO であるAshutosh Garg氏は、次のように述べています。「2025 年版の ICT レポートでは、組織が AI イニシアチブを支える人材の採用とスキル向上が、いかに加速しているかが強調されています。一方、組織が求める変革の成果を確実に達成するためには、AI イニシアチブにおいて経営幹部のサポートと人間中心設計が欠かせません。これがなければ、導入率が低迷し、取り組みが失敗に終わることが多く、倫理やガバナンスの重大なリスクに組織をさらすことになり、取り返しのつかない事態となります。AI Workforce Consortium の Playbook は、組織が健全なイニシアチブを実施するための優れたガイドです」
Google
Grow with Google の創設者、Lisa Gevelber氏は、次のように述べています。「データは明確です。今日の仕事には AI スキルが欠かせないということです。Googleは、すべての人が、AI 時代に活躍できるよう最先端テクノロジーと必要なトレーニングへのアクセスを提供することに取り組んでいます」
IBM
IBM のバイスプレジデント兼最高インパクト責任者のJustina Nixon-Saintil氏は、次のように述べています。「AI スキルは、あらゆる業界で急速に任意スキルから必須スキルとなり、イノベーションの新たな尺度となりつつあります。今、投資する組織こそが未来を切り拓きます。IBMは、AI が駆動する経済で成功していくために必要な AI スキルを今日の人材が身につけられるよう取り組んでいます。IBM SkillsBuild を通じて、学生や教育関係者に対して、急速に変化する環境で成功するために必要なツール、トレーニング、認定を提供しています。2030 年までに 3,000 万人がスキルを取得し、すべての人々の AI を活用した仕事の未来を形成することをグローバル目標としています」
Indeed
Indeed のチーフエコノミストであるSvenja Gudell氏は、次のように述べています。「AI によって仕事の DNA そのものが変わり、私たちが知っていた雇用市場が大きく変化しています。Indeed のミッションは、人々の就職支援であり、それは新たな時代に求められるスキルや機会にアクセスできるようにすることを意味します。AI Workforce Consortium との連携により、イノベーションと機会を両輪として推進し、より多くの人々が未来の働き方で成功できるよう支援します」
Intel
Intel のコーポレートバイスプレジデント兼最高収益責任者であるGreg Ernst氏は、次のように述べています。「世界中で AI に対する意識が高まり、導入が進む中、生産性の向上、ワークフローの最適化、イノベーション推進の新たな機会が生まれています。このような機会を最大限に活かすためには、AI 教育と人材育成の活発なエコシステムが必須となります。IntelはAI Workforce Consortium と連携して、このミッションに取り組んでおり、デジタル対応力とスキルセットを強化し、人材が現在そして将来にわたって責任ある AI 活用を実践できるようにします」
SAP
SAP Industries & Experiences のプレジデントであるAndre Bechtold氏は、次のように述べています。「最高水準のセキュリティと倫理水準に基づき、組織全体でコンプライアンスを効率化できる方法で AI を提供することが非常に重要です。SAPは AI Workforce Consortium と連携して、今日、そして将来の人材が急速なイノベーションの時代に活躍するために必要なスキルを取得できるよう支援します」
リソース
- AI Workforce Consortium 特設サイト(英語)
- ICT in Motion: The Next Wave of AI Integration(ICTの進化:AI統合の次なる波)(英語)
- AI Workforce Playbook(英語)
- Learning Recommendations (学習に関するアドバイス)(英語)
- 2025 AI Skills Glossary(2025年版 AIスキル用語集)(英語)
- エグゼクティブブログ:Learning: Our Greatest AI Advantage(学びこそ AI 時代の最大の武器)(英語)
**当資料は、2025年9月16日に米国で発表されたニュースリリースの抄訳です
https://newsroom.cisco.com/c/r/newsroom/en/us/a/y2025/m09/ai-workforce-consortium-finds-78-of-ict-roles-now-include-ai-technical-skills-while-human-skills-gain-priority-for-responsible-tech-adoption.html