概要
- AIを活用したWebex Contact Centerの新たなイノベーションは、エージェントの効率とウェルビーイングの向上に重点を置いており、離職率の低下、優れたカスタマーエクスペリエンス、確かな事業成果につながります。
- Webexの新たなWebex Customer Experience Essentialsパッケージは、エージェントとスーパーバイザーが担う職務を従来のコンタクトセンター外の従業員にまで広げ、お客様のニーズに迅速に対応できるようにします。
- Webex by CiscoとThrive Global社はパートナーシップを強化し、Thrive ResetをWebex Contact Centerに統合することによってカスタマーサービスの課題を解決します。
どのような職場でも従業員はストレスと疲労を抱えるものであり、コンタクトセンターではなおさらです。実際、最新の調査では、コンタクトセンターエージェントの離職率は他の職業の2倍であり、エージェントの離職の50%は燃え尽き症候群が原因であることがわかりました。これにより、100人以上のエージェントを抱える企業では年平均480万米ドルのコストが発生しています。これに対処するために、ハイブリッドワークを支援しカスタマーエクスペリエンスを強化するコレボレーションテクノロジーやコンタクトセンターテクノロジーを提供する有数の企業であるシスコ(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ)は、Webex Contact Centerにおいて新たなAI搭載機能を発表しました。この新機能は、エージェントのウェルビーイングと生産性の向上を後押しし、その結果として優れたカスタマーエクスペリエンスを実現することを目的としています。
シスコの担当代表取締役副社長兼セキュリティ アンド コラボレーションのゼネラルマネージャーであるジーツ・パテル(Jeetu Patel)は、次のように述べています。「Webexは、より思いやりのあるインクルーシブで革新的なビジネス文化を実現するためのコアバリューとして、エージェントの健康を重視しています。エージェントの健康を増進するという弊社のコミットメントは、企業が成長の土台を構築し、イノベーションを促進し、お客様に優れたエクスペリエンスを提供できるようにすることを意味します」
Webex Contact Centerの専用AIがエージェントとお客様を支援
20年以上にわたって世界最大規模の顧客志向のブランドにコンタクトセンターソリューションを提供し、カスタマーサービス機能を支援してきました。エージェントのウェルビーイングを向上し、生産性を高めると同時に、カスタマーエクスペリエンスを強化することを目的としたWebex Contact Centerの新たなAI搭載機能には、次のものが含まれています。
- AIによるエージェントの燃え尽き症候群の検知:これにより、休憩取得の自動化(Thrive Resetなど)やお客様との難しいやり取りの後のリアルタイム コーチングを実現し、エージェントの健康に関する問題にプロアクティブに対処することができます。
- 回答候補サジェスト:生成系AIを利用して回答を自動で提案し、デジタルチャネルでお客様の問い合わせに応答するエージェントの生産性を向上させます。
- 会話のサマリーとラップアップ:すでにセルフサービスで調査した問題や解決策に関するわかりやすいサマリーをエージェントに提供したり、終了した通話やチャットのサマリーをエージェントとお客様の両方に提供します。エージェントのラップアップは、お客様とのやり取りが終了するたびにラップアップコードやアクションを自動で生成します。これにより、エージェントは平均5分間削減できます。
- コーチングハイライト:お客様からの評価が高いやり取りと低いやり取りを示すダッシュボードが生成され、スーパーバイザーに提示されます。続いて、高評価のやり取りに関するサマリーが自動で作成され、スーパーバイザーは調査結果に基づいたコーチングのヒントを得て、従業員のトレーニングに活用することができます。反対に、低評価のやり取りの特徴を把握し、低パフォーマンスのエージェントのコーチングに役立てて、全体的な改善を促進することもできます。
Webex Customer Experience Essentialsを導入
企業の規模を問わず、優れたカスタマーエクスペリエンスが不可欠です。お客様のニーズを満たす上でコンタクトセンター以上に従業員の重要性がますます高まっており、組織はカスタマーエクスペリエンスを強化する取り組みに、お客様のニーズに応えられる従業員をどのように関与させるかという課題に直面しています。また、あらゆるやり取りを格別でパーソナライズされたものにすることも極めて重要です。この問題の解決を後押しするために、WebexはWebex Customer Experience Essentialsを導入し、企業全体の従業員によって考え得る最善のカスタマーエクスペリエンスを提供できるよう支援します。Webex Customer Experience Essentialsは、Webex Contact Centerの中核となる基本機能をWebex Callingユーザーにもたらし、以下のことを実現します。
- コンタクトセンター以外の従業員が専門的なエージェントとして対応できるようにして、コールバックを不要にし、迅速な問題解決と顧客満足度の向上につなげます。
- コンタクトセンター以外へのエスカレーションが必要なお客様の問題をより適切に把握できるようにします。
- 問題をエスカレーションする際に、状況に応じて効率的にバックオフィスの従業員が関与できるようにします。
コンタクトセンターエージェントを支援し、燃え尽き症候群を防ぐ
Webexはさらに、エージェントの離職率の低減とコンタクトセンターのカスタマーエクスペリエンスの強化に向けた大きな一歩を踏み出すために、アリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)氏が創設した行動変容テクノロジー企業であるThrive Global社と継続的に提携しています。両社は長期パートナーシップを強化し、エージェントの健康を増進するための科学に基づいたソリューションであるThrive ResetをWebex Contact Centerに統合し、コンタクトセンターエージェントのストレス軽減、休憩、リフレッシュをリアルタイムで支援する予定です。Thrive Resetによって、エージェントにはお客様とのやり取りの間に60秒の休憩が与えられるようになります。
Thrive Global社の創業者兼CEOであるアリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)氏は、次のように述べています。「Webex by Ciscoとの長期パートナーシップを継続し、エージェントの燃え尽き症候群への対処を支援できることを嬉しく思います。コンタクトセンターエージェントは、カスタマーエクスペリエンスの最前線にいます。Webexとの統合により、弊社はエージェントのエクスペリエンスにウェルビーイングを直接組み込んで、エージェントの健康を増進し、生産性を高めると同時に、より良い親密なカスタマーエクスペリエンスを実現します」
WebexとThrive Global社は、Webexに組み込まれたリアルタイムAIテクノロジーから得られる知見を活用し、エージェントに内省、リフレッシュ、およびストレス蓄積サイクルを打破する機会を提供します。WebexのAIベースのエージェント燃え尽き症候群分析により、燃え尽きにつながる状況が検知されると、エージェントに自動で休憩が与えられて60秒のThrive Reset動画が再生され、次の通話の前に気分転換しリラックスできるようにします。その結果、次の通話では休息を取って準備の整った状態でエージェントがお客様に対応することとなり、ストレスの多い業務環境から生まれるサービスとは異なる良好なサービスが提供されます。
Thrive Resetを利用することにより、エージェントはストレス蓄積サイクルを脱却し、交感神経系から副交感神経系に切り替えて、体内での急速なコルチゾールの分泌を低減することができます。Thrive Global社のライブラリには何百もの60秒間のReset動画が含まれており、たとえば心を落ち着かせる映像や荘厳な自然風景を見ながら行うストレッチ、呼吸、マインドフルネス、感謝のエクササイズや、最新のストレス解消テクニックが取り入れられています。そのそれぞれで呼吸のガイドを行い、ユーザーがお客様との次のやり取りの前に深呼吸し、平静を取り戻せるようサポートします。Thrive Global社はUniversal Music Group社と提携してThrive Reset用の音楽のライセンスを取得し、Thrive Resetをより魅力的でパーソナライズされた効果的なサービスにしています。
ある金融サービス業界のお客様が、エージェントにタイムリーに休憩を与えるThrive Resetを統合したWebexのAIベースの燃え尽き症候群分析を60日間試用したところ、大きな成果が得られました。たとえば、お客様の問い合わせへの対応時間が1/4に減少し、顧客満足度スコアが4.8から4.9に改善されました(1 ~ 5で評価)。
提供時期
Webex Contact Centerの新機能はまだ一般提供されておらず、開発段階もそれぞれ異なります。2023年末までには応答提案機能のベータ版の提供、2024年2月にはエージェント燃え尽き症候群検知APIのベータ版の提供、2024年末にはWebex Contact Center向けThrive Resetの一般提供が開始される予定です。また、2024年上半期にはWebex CX Essentialsパッケージの提供が予定されています。
Webex CX Essentialsは、カスタマーサービスを重視する業界向けに特別に設計されており、Webex Callingユーザーが購入して利用できます。
レスポンシブルAIに対するシスコのアプローチ
シスコは長年にわたり、AIを自然言語、オーディオインテリジェンス、ビデオインテリジェンス、アナリティクスと組み合わせて活用してきました。これらはすべて、初めからセキュリティ、プライバシー、人権に留意して設計されています。現在シスコが掲げているミッションの1つは、AIの大きな将来性を認識しつつ、透明性、公正性、説明責任、プライバシー、セキュリティ、信頼性に関する標準を遵守することです。これは、シスコのAI製品に適用されるレスポンシブルAIフレームワークでシスコが 約束することです。Webex Contact Center機能は安全であり、シスコのレスポンシブルAIフレームワークに合致しています。
Thrive Global社について
Thrive Global社は、Arianna Huffington氏がストレスと燃え尽き症候群の蔓延に終止符を打つというミッションを掲げて2016年に創設した有数の行動変容テクノロジー企業です。同社はAIを活用した行動変容テクノロジープラットフォームを提供し、個人や組織によるウェルビーイングの向上、パフォーマンスの改善、精神回復力の強化を支援しています。Thriveのマイクロステップ(健康の増進や生産性の向上のための科学に基づいた小さなステップ)は、現場作業員からコールセンター従業員、多国籍企業のエグゼクティブまで、140か国以上で125以上の組織の従業員に取り入れられています。詳しくは、www.thriveglobal.comをご覧ください。