シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長
デイヴ・ウェスト
シスコが本年8月7日に買収を完了したThousandEyesは、AppDynamicsとの相乗効果によって、エンドユーザーに最高のデジタル体験を提供し、日本市場におけるデジタル変革を大幅に加速させるものと期待しています。
“ニューノーマル”の時代においては、インターネットが世界中の数十億の人々にとって欠かすことのできないライフラインになり、企業にとっても同様です。クラウドの導入が急速に進み、WebexのようなSaaSアプリケーションが幅広く普及するようになって、インターネットは新たな企業ネットワークとなっています。
遠隔教育や遠隔医療など、人々はさまざまな場所からリモートで行えるようになっています。顧客と従業員体験の両面で、インターネットへの依存度はかつてないほど高まり、SD-WAN等のテクノロジーも多くの場合、パブリック インターネットをベースに構築されています。
一方、7,000 名以上の消費者を対象としたAppDynamicsのApp Attention Index(アプリケーション注目指標)の調査によると、実に消費者の84%がデジタルサービスに関して何らかのトラブルを経験しており、多くの企業が時代のニーズに合った高品質なデジタル体験を安定的に提供できていないことが明らかになっています。企業がアプリケーション主導のビジネスへと進化するにともなって、企業ITに大きな重圧がかかるようになり、チームとテクノロジーとの間には危ういサイロが存在していることがわかりました。不規則なオペレーションが続く中、ITチームはビジネスの継続性を確保する必要があります。
こうした状況下で、1つ、はっきりしていることは、誰にとっても優れたユーザー エクスペリエンスが必要だということです。仕事でも学習でも遠隔治療を受けるにしても、アプリケーション体験は最高のパフォーマンスが発揮された状態でなければなりません。アプリケーションがどのように機能するのかを十分に理解したうえで可視化できることが、ニューノーマルの時代には大変重要です。
シスコがThousandEyesを買収した理由は、ここにあります。ThousandEyesはSaaSやクラウドアプリケーションの監視やネットワーク パフォーマンスのトラブルシューティングのための、インターネットおよびクラウド インテリジェント プラットフォームで、エッジからクラウドまでエンタープライズのネットワーク エクスペリエンスに特に重点が置かれています。ThousandEyesのプラットフォームによって、あらゆるネットワークを自社ネットワークのように可視化することができます。企業はエンタープライズとクラウドのあらゆるネットワークを通じて問題をピンポイントで特定し、ネットワークやアプリケーションのパフォーマンスを向上させることができます。
シスコはAppDynamics とThousandEyesの2つのソリューションによって、このハイパーコネクテッドな世界におけるビジネスの成功を支援します。
- 垂直方向のサイロ(アプリケーションチーム、ネットワークチーム、インフラストラクチャチーム間)や水平方向のサイロ(企業と企業が依存する外部のクラウド/SaaSプロバイダー等の間)を取り除き、デジタル エクスペリエンスや、エクスペリエンスを左右するパフォーマンスの問題について一貫した可視性を創出
- 真のエンドツーエンドの構図を描くために内部(ネットワーク)テレメトリと外部(インターネット)インテリジェンスを一体化
- フィードバックループを作成してよりビューを実用的にし、人間が関与することなくシームレスに問題解決を実現
ThousandEyesはインターネットを介してデジタルで提供されるアプリケーションやサービスに広汎な可視性やインサイト、アクションを提供します。ThousandEyesは3つの重要なユースケースにフォーカスし、あらゆるネットワークやアプリケーションにまたがるユーザーエクスペリエンスを可視化します。
- WANエクスペリエンス:ブランチの準備の基準値としてオーバレイとアンダーレイの両方の監視を含めた最新のWANインフラストラクチャを導入します
- 従業員のデジタルエクスペリエンス:リモートワーカーのエクスペリエンスを変革し、生産性やコスト、スピード、競争優位性に重点を置いてマルチクラウドやSaaSを導入できるようにします
- 顧客のデジタルエクスペリエンス:収益、評判、リスク、規制コンプライアンスに重点を置いて、あらゆる場所で接続されたエクスペリエンスを視覚化し、理解し、改善します
私たちはThousandEyesとAppDynamicsのパワーが積み重なることを大いに期待しています。AppDynamicsはアプリケーションやビジネス性能監視の分野におけるリーダーであり、あらゆるアプリケーションを通じてエンドツーエンドのパフォーマンスを可視化します。ThousandEyesを統合することで、シスコにはこのエンドツーエンドの可視性のスタックが完成し、アプリケーションやサービスの可視性とパフォーマンス監視によるユーザーエクスペリエンス強化が可能になり、同様のことをネットワークについても行うことができます。この2つの力を活用することで、エンドユーザーは接続性やパフォーマンスに関する潜在的な問題の所在を即座に把握し、こうした問題に直接対処できるようになります。
シスコはAppDynamicsがアプリケーション パフォーマンス監視(APM)製品の市場ナンバーワンであるというだけでなく、ユーザーからモバイルデバイス、データセンター、クラウドに至るまで、多くの異なった環境にわたり、エンドツーエンドの可視性を提供できる点を高く評価しています。すでに100社以上の顧客がAppDynamicsを利用してビジネスやユーザー エクスペリエンスの向上や強化を実現しています。
まさにこのことがシスコにとって市場における差別化要素となり、デジタル化への移行が進む日本市場においては特に強力な武器になります。AppDynamicsは、あらゆる企業とその顧客やパートナーとの取引における成功、日本市場全体でエコシステムの構築に重要な役割を果たすでしょう。
ネットワーキングにおけるシスコの強みと、AppDynamicsによるアプリケーションの可視化とThousandEyesによるネットワークパフォーマンス監視を組み合わせることで、お客様はインターネットを介したアプリケーションやサービスのデジタル配信をエンドツーエンドで把握できるようになります。この組み合わせによって、シスコは顧客や従業員がどこにいても、包括的に可視化でき、データセンターやクラウドに格納されたアプリケーションやサービスのデジタルエクスペリエンスを視認できるようにします。これによって、デジタル変革の途中にある企業に対しても、その実現を加速させることができます。
シスコの目的は、すべての人に包括的な未来をもたらすことです。市場でさまざまな変革が急速に進んでいる今、私たちは、日本のお客様に最高の品質と技術サポートを提供することに全力で取り組んでいきます。
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